当方では、2020年の Windows 7 のサポートが終了のタイミングで、ウェブサイト制作において全てのInternet Explorer(インターネットエクスプローラ、以下"IE"と表記します)の対応を行わないこととしました。また、非対応には IE11をはじめ Chromium Edge 以前の Microsoft Edge も含みます。

2016年のIE8への対応終了時の記事では「一部ケースバイケースで対応〜」の旨も書かせてもらいましたが、今後はそれも行いません。
古いInternet Explorerのサポート終了による今後のブラウザ対応について

IE対応しない理由

ウェブサイト制作でなぜIE対応しないか、は上記の記事にも書かせていただいてますが、改めて要約すると、

  1. IEは、伝統的にウェブ標準に基づいたCSSを正確にレンダリングできないため、いわゆる'IEハック(IE対策)'を含む大幅な工数増加を必要とすること。
  2. 現在(2021年5月)のところIE11自体はまだサポート終了となっていないものの、代替であるEdgeが利用できない古い環境(Windows7以前)はすでにサポート終了されていること。
  3. 最新のIE11を含めてもシェアが極端に少ない(デスクトップブラウザの1割以下)こと。

といった理由になります。

ウェブサイト制作では、HTMLやCSS(スタイルシート)などの記述言語をウェブ関連の規格「ウェブ標準」に則って扱います。現代のブラウザ(モダンブラウザ)は、ウェブ標準に則ったスタイルで描画し、プラスアルファで草案の規格や独自規格を扱えることができるようになっています。

現代のブラウザにも多少のバグはあるものの基本的には「ウェブ標準に則った記述さえしていればどのブラウザでもほとんど同じように表示させる」ことができるようになっています。IEは伝統的にこの点に問題を抱えており、正しい記述を行っても意図したとおりの表示や動作にならない部分が数多くあります。

現代ではスマートフォンに対応したレスポンシブデザインが主流であり、できる限り新しいデバイスに最適化することが望ましい状況です。これらのブラウザと、シェアも低く規格に忠実でないIEを天秤にかけた答えは言わずもがなです。

IEがウェブの基準ではないのか

以前は「IEに対応できないのは制作するサイトが標準の規格に準じていないからではないか」というクライアントの声を聞くこともありました。実際は逆です。

上記のとおり、IEに対応させるには「ウェブ標準に即しつつ、時にはIEのために規格外のコードを書き動作確認し、それでも未だ現代のスタイリングに対応できない部分が残る」という、労力に見合わない不毛な作業を行う必要がありました。ウェブ開発者にとってIEは、コードを長く汚くし、動作を遅くして足を引っ張る嫌われ者だったのです。

よく、IEサポート終了によって影響を受けるウェブサービスの話を聞きますが、これらは最初からシェアの高かったIEで正常に動作するよう設計されていたことによるものでしょう。ターゲットをIEに絞っているがために、本来規格に忠実なその他のブラウザで不具合が発生する可能性がある、といったものだと推測できます。

古いサイトに見受けられる「IEでご覧ください」といった注意書きは、ウェブの標準規格に準じてあれば必要ないものです。
※ 実際には問題ないサイトでも、単に注意書きが残っているだけの場合もあります。

IE対応の必要性は今後ありません

現在では、IEしか動作しない Windows のサポートは終了しておりIEのシェアも少ないため、IE対応の必要性はありません。また、今後新しい(これまでのようなウェブ標準の規格を描画できない)IEが出ることもありません。マイクロソフトでも、独自の規格を開発しようとする分野はまだ多くあると思いますが、ウェブブラウザについてはすでにオープンソースのレンダリングエンジンを搭載した Edge へ移行済みです。

こちらでもIE環境が一部のエミュレータ(実機を模倣したアプリケーション)に限られるため、IE向けの動作確認や開発は行っていません。

現在では、多くのウェブサイトでデスクトップブラウザよりスマートフォンのアクセスが増えており、少ないデスクトップブラウザのアクセスの中でもIEのシェアはほとんどありません。また、ブラウザを判別する"ユーザーエージェント"は簡単に書き換えることができます。個人的には、数少ないIEの中にはボットや動作確認用のアクセスも多く含まれており、有効なアクセスはもっと少ないと思っています。

クライアントの中には「動作確認をする自社オフィスのブラウザがIE」といった場合があり、表示のズレなどの修正依頼を受けることがあります。できる限り新しいブラウザで動作確認し、そのサイトを利用するユーザーはIEは使っていないということをご理解いただければと思います。

IEのよくある不具合

IEではCSS(スタイルシート)の解釈の間違い・未対応・不具合が多くあり、主にスタイルが崩れる不具合が発生します。その他、古いバージョンのIEでは、独自規格に頼ったせいで正しい JavaScript(ジャバスクリプト)が動作しない、といった不具合があります。

IE9〜IE11など後期のバージョンでは改善されているものもあります。

  • 2列、3列などの横並びがうまく表示されない、または重なる。
    CSS: Grid layout, float, box-sizing...
  • 画像が大きすぎたりはみ出て表示される。
    CSS: max-width, max-height, object-fit
  • 画像やブロックの角丸が反映されない。
    CSS: border-radius
  • 曲線や斜めの境界線やマスクが機能しない。
    CSS: mask...
  • 透過PNGや半透明のデザインが反映されない。
    24bit PNG, CSS: opacity